完走文

触れた作品についてつらつら述べます。

今さら書き殴る「機動戦士ガンダム ナラティブ」レビュー


※ネタバレ注意!!ほぼ全容のネタバレがあります


映画館で6回(うちBDDVD版上映1回、4DX1回)見た筆者が公開から1年弱経ったガンダムナラティブの感想を綴ります。
ちなみにちょうど今2週間限定で4DX上映してるのでよかったら見に行ってみてね。(ただし加筆修正の入ったBDDVD版ではなく、映画版での上映でした。)

gundam40th.net

以下レビュー。

ガンダムナラティブのこれまでの批判的なレビューで散見されたのは以下のようなものだった。

・これまでの宇宙世紀を蔑ろにしている
・オカルトすぎる
・人物の作画がひどい(これは確かにそうだったかもしれない、BDDVD版はかなり力の入った修正が入っているのでそちらを見てほしい)


たしかに死後の人間の意志がガンダムを動かしたりするし、ニュータイプの解釈違いなど、往年のファンが怒るのも理解できなくはない。

しかしながらここではガンダムシリーズであるということをひとまず置いて、ひとつの映画作品としてレビューしていきたいと思う。

ガンダムナラティブ」という作品を一言で表すとすれば「戦争に巻き込まれた子供達とその後」だろうか。


ヨナ・バシュタ(機動戦士ガンダムNT) (よなばしゅた)とは【ピクシブ百科事典】

ミシェル・ルオ、リタ・ベルナルとは幼馴染であり、宇宙世紀0079年の幼少期にオーストラリアで起きたコロニー落としをミシェルやリタと共に、事前に察知し、それを伝えて街の人々を救った「奇跡の子供たち」と呼ばれた過去を持つ。しかし、自分達の両親は救えなかった事から孤児となった。

上記はピクシブ百科事典の主人公の説明である。「ガンダムナラティブ」は主人公ヨナ・バシュタとその幼馴染のミシェル・ルオ、リタ・ベルナルの3人がメインの物語になっている。
今回のレビューは主人公側3人の関係性に着目して解説していく。


主人公たち3人は戦争によって孤児になり実験施設に収容されていた。細かい描写はないが施設に入る前から知り合いだった3人は励ましあいながら実験に耐えていったに違いない。

主人公たち3人の幼少期~青年期の関係性はこうであった。
ヨナはリタに、ミシェルはヨナに恋心を寄せる。リタははっきりしないが、2人との友情を維持したいような振る舞い。


そしてある時、ミシェルは2人を裏切って1人で施設を脱出してしまう。またそのせいでリタは隔離され行方不明になる。


この事件によって3人の関係は以下のように変わった。

・ヨナはリタに会いたい。裏切ったミシェルを許さない

・ミシェルは2人を施設から救い出すことで2人に許してもらいたい

・リタは??描写が少ないのではっきりしないが、2人に会いたかっただろうか。予知能力があるので運命を受け入れただろうか。


時を経て実験施設が解体された後、大人になったヨナはミシェルに見つけ出され、リタが搭乗し行方不明になった実験機フェネクスガンダムの捕獲作戦に随行することになる。(本編)

捕獲作戦にミシェルが参加した目的はリタと再会することで、ヨナとリタに許されたい(本編ラスト付近で語られる)というものであった。


ここで、ヨナとミシェルの行動原理はリタを含めた3人の関係性が全てであって、2人にとってそれ以外のことはどうでもよいということを述べておきたい。ヨナはリタが行方不明になってしまったことでミシェルを恨んではいるが、リタと再会するためならミシェルに協力する。ミシェルは捕獲作戦に参加するためにあらゆる利権・チャンネルを利用した。また作戦そのものも自分たちに利するように変更した。その結果、多くの他人が亡くなってもミシェルにとっては関心事ではない。それはミシェルにとってリタと再会し、ヨナから許されることが至上の命題だからである。


私は初見時、ミシェルがあまりに多くの人間を犠牲にするので、そこまでする必要があるのかと違和感がぬぐえなかった。しかし何度目かの視聴を経て気が付いた。ミシェルにとっての優先順位は上記で述べた通りで、それがすべてなのだ。


そしてこの行動原理はラストまで守られることになる。


結局、捕獲作戦は失敗し、ヨナとミシェルはリタが確実に死んでいることを悟る。ここから二人はリタの願い(世界を救うこと)を叶えることに尽力することになる。

元凶であるセカンドネオジオングに挑む中、ミシェルは命を落とす。そこでヨナはミシェルに対して抱いていた感情が恨みだけでないことに気付く。おそらくヨナはミシェルを許さない感情で自分自身を支えていたのだろう。ミシェルがいたおかげでヨナは行動できていたのだ。そして2人ともいなくなってしまったことをヨナは嘆いた。ヨナにとっても2人との関係がすべてだったからだ。

その後、ミシェルの遺志に励まされたヨナはセカンドネオジオングを破壊した。しかしその敵パイロットは死の直後、地球圏を滅亡させてしまう程の力を放ってしまう。

地球が滅亡しようとしている中、ここでヨナの心象風景が描かれる。ヨナはリタとミシェルが死んでしまったことを再び嘆いた。ここでミシェルとリタの遺志がヨナに語りかける。


ミシェル「終わりにしてしまってもいい」

その通りだ。ヨナにとっては2人がいなくなってしまった世界はどうなってもいいのである。


ここでリタの言葉がヨナに決心を迫る。

リタ「ヨナに会えて嬉しかった…
何度でも生まれ変わってヨナに会いたい、ヨナは?」

ヨナはリタとミシェルが生まれ変わってくる世界を守るためにもう一度現実に生きることを決意したのである。

そしてヨナは力を奮い世界を救った。


2人がいなくなってしまった世界でこれからヨナがどう生きていくだろうか、続編に期待したい。




今作の他の見所としては

澤野弘之氏の音楽(UCのアレンジなどあるのでUCを見ると一層楽しめる)

・過去キャラの再登場(主にUCから)

・過去作のオマージュ(ナラティブガンダムがバラバラに破壊されながら進むシーンはラストシューティングを思い出させられた)

などが挙げられる。



かなりネタバレの多いレビューとなってしまったが、いかがだったろうか。1時間半と長い映画ではないが、噛めば噛むほど味がする、見るたびに涙してしまう映画である。ぜひ一度、もう一度見てみてはいかがだろうか。

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